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    「失われた30年」と末期的な累積財政赤字
    「故アベノミクス」はインフレの道を選択した
    国債暴落によるハイパーインフレは不可避
    増税率+インフレ率=あなたの収入の上昇率?
    「海外投資」と「オプション取引」は不可欠
    日本は社会主義国家で資本主義が機能不全
    学問的成功と経済的成功はイコールではない
    経済格差はお金の教育によって解消される
    旧来の学校教育の弊害は大きい
    勇気なくして幸福なし
     
    高度経済成長、バブルの崩壊、そして平成の「失われた30年」を経て、日本政府の財政赤字は約1,300兆円の大台に達しました(1,311兆円0,421億円、2024年06月末時点)。国民一人当たり*の負担は約1,800万円(1,778.5万円)です(*税金の支払い能力のある生産年齢人口 / 15歳以上65歳未満 / 7,371.7万人、2024年05月01日時点 / 確定値)。税収が足りず、赤字国債(特例国債)によって成立している国の予算(年金・医療などの社会保障費が予算総額の約3分の1を占める)は、国民全員に平等に再分配されるわけではありません。

    すべてがうまくいき、すべてひとの生活が向上していく時代はとっくの昔に終わっていて、経済格差は世代間で大きく広がり、同じ日本人でも、同じ組織や家族の中でも、ある層は利益を得て、ある層は不利益を被り、ある層は置き去りにされ、時代から取り残されるという憂鬱な事実に気づき始めている人々は確実に増えています。

    国家財政の使い道では、高齢者の年金・医療に偏った社会保障制度から、全世代型の制度へとシフトし始めましたが、財政破綻したときの責任や怒りの矛先を特定の世代や階層に向けることなく、全世代で痛み分けさせ、社会の分断と対立を回避しながら、犯罪、暴動、テロ、戦争、革命といった形で明らかになる動乱期を乗り越えるために、伏線を張り巡らせておこうとしているのかもしれません。国内が完全に二極化し、社会の分断が深刻化し、内部対立する米国の問題は、対岸の火事ではありません。

    平成の「失われた30年」では「団塊の世代の雇用を守る」ために、令和の「新時代」では「団塊の世代の老後(年金・医療)を守る」ために、再び、若者や女性、子供たちが犠牲になり、人口減少と少子化が急速に進んでいます。

    「給料が増えない」「結婚して子供を持つことができない」「不動産がバブルで高騰して家を持つことができない」「親より良い生活はできない」「頑張っても(税金で)搾取されるだけだ」という悲惨な現実に絶望し、どこに怒りを向ければよいのか、何をしたらよいのか、分からないひとは多いのではないでしょうか。

    「若者や女性、子供たちの未来よりも、老人の老後の方が大事である」と言わんばかりの閉塞感の漂う日本社会の中で、目上やお上に異論を唱え、反逆しても、残念ながら、政治的に、現状は何も変わらないでしょう。大きな痛みを伴う変化は、たいてい先送りされ、危機や破綻の事態が起きてから、事後的に促されるものです。

    さて。
    国家の借金を返済する道は3つしかありません。

    【1】収入を増やす(経済成長による税収増 / 消費税などの大増税)
    【2】支出を減らす(年金・医療などの社会保障費の削減)
    【3】負債を踏み倒す(ハイパーインフレ)

    人口減少・少子高齢化で衰退し続ける老人国家の日本。
    再び高度経済成長による劇的な税収の増加は見込めません。
    そのため、国家の借金は・・・

    【1】大増税
    【2】政府支出の大幅カット
    【3】ハイパーインフレ(円の暴落による物価の暴騰=借金の目減り)

    という形によって清算される運命にあります。
     
     
    日本の財政が危機的状況に陥ったのは、1955年以来、ほぼずっと与党である自民党政権が長年にわたって「大きな政府+低い税負担」という「大衆迎合的なポピュリズム政策」を続けてきたためです。

    日本政府は、人口統計やIT革命から来たるべき未来が分かっていたにも関わらず、少子高齢化対策や産業構造改革に取り組まず、失われた30年の元凶である無駄な「道路や箱モノの公共事業によるバラマキ政策(ご機嫌取り)」に重点を置き続けてきました。時代遅れのケインズ主義という名の下に、1990年代の10年間で約600兆円、毎年約60兆円の公共事業を続けたにも関わらず、本当に必要な防災などのインフラは今現在においても整備されておらず、自然災害による死亡率は発展途上国よりも高いままです。

    地方では下水道の普及率は低く、水洗トイレのない家の割合がOECD諸国の中で最も高く、社会インフラの整備が遅れているため、発展途上国よりも劣悪な住環境のままなのです。美意識からほど遠く、無計画なツギハギの景観が目立ち、放置されたシャッター街も多く存在し、電柱や電線が乱立しており、自然災害による停電が頻繁に発生しています。それにも関わらず、先進国の中では最も高い電気料金を課せられている惨状です(海外の主要都市には電柱はほとんど見当たらない)。

    日本企業は、痛みを伴う産業の構造改革を避け、団塊の世代の雇用や退職金を守るために、非正規雇用を増やし、従業員の賃金を上げずに内部留保ばかり積み上げ、変革に取り組まず、低成長(低税収)を続けてきました。それは今でも変わりません。PBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込む上場企業は5割を超え、事業を継続するよりも資産を処分して解散し、株主から預かった資本を返却すべきということを意味しています。

    自民党は、選挙で大衆受けが悪い【1】大増税、【2】政府支出の大幅カット、の代わりに、故アベノミクスという「異次元の質的・量的金融緩和(国債発行)」という手段で「インフレ2%」という目標を掲げ、国民の同意を得ずに済む解決策【3】ハイパーインフレの道を突き進んでいます。

    約1,300兆円の借金の元本を返済するには、毎年10兆円ずつ返済しても約130年かかります。その間、ゼロ金利が続かなければ、金融正常化のプロセスにおいて超巨大化した日銀のバランスシートを縮小(借金を返済)する際に、大きな問題を抱えることになります。仮に、故アベノミクスが成功し、景気が良くなったとしても、金利を引き上げる時に、日銀が「債務超過」に陥る可能性が非常に高いのです。要するに、自民党信者が妄信してきた故アベノミクスは、成功しても、失敗しても、どちらにしても出口がなく、破綻する運命なのです。

    日銀の保有国債(資産サイド)は、長期国債(10年超)が中心であり、固定金利ですから、金利収入はすぐには増えません。受取利息は、長期国債が満期になり、金利の高い新しい国債に切り替わるまで増えません(保有国債の平均残存期間は9年5カ月 / 2024年3月末時点 / 普通国債残高の残存期間別内訳)。一方、日銀当座預金(負債サイド)への付利金利の支払いは即時、上昇するので、債務超過に陥ってしまうのです。リアルタイムで正確な評価損益を反映させる時価会計ではなく、簿価会計を採用している(民間の金融機関は時価会計を強要されている)日銀の債務超過が一時的なら、問題なく済まされる可能性もありますが、「中央銀行の債務超過」は、中央銀行とその発行する通貨(円)の信用を著しく毀損します。慢性的な財政赤字が続く日本政府には資金がありません。日銀の債務超過の損失を補填するために、更なる国債の発行で賄うなら、日本(円)の信用は墜落し、円の暴落によるハイパーインフレを招くでしょう。

    バナナ1房130円が、ハイパーインフレによって1房1,300万円になれば、1,300兆円の政府の借金返済は簡単になります。税収の額面が桁違いに増えるためです。ハイパーインフレは、家計の金融資産(2,212兆円 / 2024年06月末時点)から国(債務者)への富の移行という点で、大増税と同じ効果を持ちます。たとえあなたの預金が1,300万円あっても、ハイパーインフレによってバナナ1房しか買えなくなりますが、政府の借金は桁違いに減らせるのです。

    日銀主導による異次元の質的・量的金融緩和(政府の資金繰りを賄うための日銀による国債引き受け=財政ファイナンス)が招くハイパーインフレは、国民の甚大な犠牲を伴うので、赤字国債を自由に発行できないように憲法(財政法第五条)によって禁止されている財政再建策なのです。財政ファイナンスを行えば、必ず、ハイパーインフレを招くと歴史が証明しています。財政ファイナンスを行って、ハイパーインフレを起こさなかった国は過去に1つもありません。ハイパーインフレは100%の可能性で起こります。日銀に異次元の質的・量的金融緩和からの「出口戦略」がないため、問題は「いつ起きるか」だけなのです。

    財政ファイナンスという故アベノミクスを続けてきた自民党政権は、(人為的な)戦争、テロ、自然災害、新たな感染症拡大、金融危機などを理由にして、財政ファイナンスの継続を肯定し、日銀の債務超過と破綻の原因と責任からも逃れる算段なのかもしれません。ロシア・ウクライナ戦争を見れば明らかなように、イギリスやアメリカなどによるウクライナへの武器供与を通じて、大国同士の第三次世界大戦はもうすでに始まっています。

    19世紀初頭、イギリスは債務残高の対GDP比*が260%(日本は252.363% / 2023年時点 / April 2024 Edition / World Economic Outlook Database / GOVERNMENT FINANCE / General government gross debt PERCENT OF GDP)でありながら、その後100年かけて財政を健全化しました。それは、イギリスが世界を牽引してきた資本主義国家であり、借金を返済しなければ国礎そのものの存続が危ぶまれるからであり、債務削減に対する危機感やモチベーションに欠ける社会主義国家の日本は、同じ道のりを歩むことは無理でしょう。残念ながら、我が国は、教育を司る文部科学省の天下り問題が象徴するように「自己責任」の「自助自立」よりも「責任転嫁」の「他力依存」の国なのです。
     
    *税収は、GDPに比例して、大きいほど、増えます。国の借金(債務残高)を対GDPで比較するのは、「税収で借金を返すのがどのくらい難しいのか」 という指標になります。
     
    過去30年間における債務残高の対GDP比
    G7
     
     
    G20 1993年 2023年 対比

    オーストラリア
    30.666% 49.381% 1.61倍

    日本
    72.837% 252.363% 3.46倍

    韓国
    11.223% 55.183% 4.92倍

    中国
    21.619%
    (1995年)
    83.644% 3.87倍

    インドネシア
    87.437%
    (2000年)
    39.894% 0.46倍

    インド
    78.328% 82.748% 1.06倍

    サウジアラビア
    58.599% 26.227% 0.45倍

    トルコ
    51.318%
    (2000年)
    28.882% 0.56倍

    南アフリカ
    37.929%
    (2000年)
    73.929% 1.95倍

    ロシア
    51.519%
    (1997年)
    19.657% 0.38倍

    イタリア
    124.326% 137.280% 1.10倍

    ドイツ
    45.095% 64.278% 1.43倍

    フランス
    46.554% 110.635% 2.38倍

    イギリス
    37.960% 101.084% 2.66倍

    欧州(Euro Area)
    71.365%
    (1995年)
    88.600% 1.24倍

    アメリカ
    53.146%
    (2001年)
    122.148% 2.30倍

    カナダ
    94.730% 107.129% 1.13倍

    ブラジル
    62.198%
    (2000年)
    84.675% 1.36倍

    アルゼンチン
    26.893% 154.536% 5.75倍

    メキシコ
    42.537%
    (1996年)
    53.095% 1.25倍
     
     
    日本の財政は、毎年赤字です。税収が足りないため、資金繰り倒産しないように、毎年、財務省が約30兆円の国債(新発債)を発行(借金)して(発行に関するもの / 国債発行額の推移)、民間金融機関が入札後すぐに転売し、日銀が買い増し続けています(実質的には憲法違反の財政ファイナンス)。日銀はいくらでも紙幣を刷って歳出を賄うことができるので、資金繰り倒産はしませんが、財政ファイナンスによってハイパーインフレになります。それに加えて、過去の借金を返済することもできませんから、毎年、以前に発行して満期が来る国債(借換債)、約150兆円を借り換えなければなりません(償還に関するもの / 最近7年間の国債整理基金の公債等、借入金償還財源の繰入額、償還額、年度末基金残高、借換額の推移)。そして、その残高は増え続ける一方です。

    2024年06月末時点における国債発行額(国庫短期証券を除く)は1,061兆5,159億円です((参考1) 国内発行債券の発行体別かつ保有者別残高・フロー ①残高 / 中央政府+財政融資資金 長期 / 合計)。日銀が保有する国債は564兆8,033億円となり((参考1) 国内発行債券の発行体別かつ保有者別残高・フロー ①残高 / 中央政府+財政融資資金 長期 / うち中央銀行)、発行残高の53.21%(国庫短期証券を除く)となり、過去最大(53.86%/2023年09月末)レベルの水準です。(資金循環統計 / その他 / 参考図表 / PDFデータ / 参考図表 2023年第2四半期の資金循環 (速報) / (図表6-2) 国債等の保有者内訳 / ⑤構成比の時系列データ(「国債・財投債」))。

    国の借金の半分以上を日銀が背負っているという(間接的な)国債の引き受け、
    この実態こそ「財政ファイナンス」そのものです


    日銀が異次元に国債を買い続けるため、
    日本の国債市場(現物取引、先物取引、オプション取引)は、
    市場原理が働かなくなっています。

    要するに・・・
    日銀が買い増し続けるので、日本国債価格は超バブルだということです。

    債務残高GDP比がギリシャよりも悪い約1,300兆円の借金があるにも関わらず、ギリシャのように国債の金利が急騰せず、限りなくゼロに近い超低金利に抑えられているのは、日銀が大量に国債を買い支えているからです(国債の価格と金利は逆の相関関係)。

    「中央銀行が決めるのは短期金利(政策金利)で、長期金利(10年物国債金利)はマーケットが決める」のが世界の常識です。しかし、日銀は2016年09月21日、10年物国債金利がゼロ程度で推移するように長期金利を操作するYCC(イールドカーブ・コントロール)政策を導入しました。その後、インフレのため2022年12月20日に±0.5%へ変更し、2023年07月28日に1.0%の利回りでの指値オペに修正を余儀なくされ、2024年03月19日にマイナス金利を解除しても、なお、国債の価格が暴落(国債の金利が急騰)しないように買い支え続けているありさまです(長期国債の買入れ)。

    1.0%の利回りでの「長期国債買入れ」は、日銀や国内の金融機関が債務超過に陥ってしまう最終防衛ラインであり、債務超過によって、国内金融機関の倒産をはじめ、円の信用を失えば(日銀は無制限に国債を買い支えることができるので倒産リスクがないため日本国債の大幅な格下げはないものの)、円は紙くず化し、瞬く間にハイパーインフレとなってしまうのです。

    通常、国債を発行して財政出動すれば、長期金利は上昇します。全世代型の社会保障をはじめ、公共事業などの大盤振る舞いは、国債の信認を低下させ、国債市場が長期金利の上昇(国債価格の下落)という形で、過度の財政出動に歯止めをかける市場原理が働くのです。しかし、日本では、国債市場に市場原理が働かなくなっています。

    超バブルで過去最高値を更新し続けてきた暴落必至の国債を、日銀以外に、誰が、毎年、何十兆円も「買い増す」ことができるのでしょうか?新発債は、新しい国の借金なので、誰かが、必ず、その分を、毎年、買い増してくれなければ、需給バランスが崩れ、国債価格は暴落(金利は急騰)してしまうのです。価格が暴落するのは、政府の金融政策とマーケットの間に生じる歪みを利用したヘッジファンドなどの大口の売り手が現れたときだけではありません。大口の買い手を失ったときも然りです。唯一無二のラストプレーヤーである日銀が国債を買い支え続けなければ、国債は暴落します。

    市場原理が働かなくなっているのは、国債市場だけではありません。民間企業への資金供与は原則行なわないのが、中央銀行なのですが、日銀は「資産買入れ方針」で「ETF」や「J-REIT」を通じて、株式市場、不動産市場を買い支え続けてきました。通常、中央銀行は、価格変動によって評価損が生じる資産などを保有してはいけないのです。なぜなら、その国の通貨の価値は中央銀行の財務内容で決まり、損失が生じるような資産を保有して、債務超過となり、信用崩壊によって自国通貨が暴落することを避けなくてはならないからです。残念ながら、このようなことを続けてきたのは、世界でも日本の中央銀行(日銀)だけです。日本国内の株式市場や不動産市場がバブル化する中で、どのようにして保有した資産を圧縮していくのか?出口戦略を明示して、丁寧に市場と対話する意思もなく、その説明責任から逃げ続けています。

    2024年2月22日、日経平均株価は、1989年12月29日に記録した狂乱バブルの過去最高値を更新しました。日銀は、国内の株式・不動産が資産バブル化し、約2年間にわたってインフレが2%を超え続けていたにも関わらず、未だにマイナスの政策金利(-0.10%)を採用している世界で唯一無二の存在となってしまい、2024年03月19日にマイナス金利の解除を余儀なくされました。

    日銀のマイナス金利解除は「日銀当座預金のごく一部(約30兆円)」と「無担保コールO/N物レート(-0.005% / 2024年2月22日時点)」に影響を与えるものですが、市中へのその効果(変化)はほとんど皆無に近く、金融緩和の出口でも何でもありません。

    再び円安が大きく進むと、輸入インフレが加速して収拾がつかなくなるから、今後の「(口先)為替介入」「微々たる政策金利の引き上げ(利上げ)」は、円高へ誘導するための最終手段といえるでしょう。繰り返しますが、故アベノミクスは、成功しても、失敗しても、どちらにしても出口がなく、破綻する運命なのです。故アベノミクスを評価する経済学者たちもいますが、日銀の異次元の量的・質的金融緩和は、出口を出られて(保有した資産を元のレベルへと圧縮することができて)初めて評価ができるのです。

    世界の主要な中央銀行は、インフレ抑制のために金融引き締め(利上げと量的引き締め)の長期戦(Higher for Longer)を余儀なくされていますが、日銀だけは異次元の量的金融緩和を継続しています。金融緩和を続けるため、大幅な円安となり、輸入価格の上昇により、コストプッシュ・インフレを招く一方で、日本政府は物価対策を打ち出しています。政府の物価対策と日銀の金融緩和は矛盾しているのです。本来であれば、金融緩和の解除(長期国債の買入れ、量的緩和の終了)による円安の阻止こそが最も重要な物価対策なのです

    2024年07月31日、日銀は長期国債の買入れ減額(テーパリング)計画の公表と0.25%への利上げを決定しましたが、量的緩和(財政ファイナンス)は継続しています。金融緩和のスピードは緩めるけれども、まだ金融緩和は加速している状態で、金融引き締めや金融正常化はほど遠く、実質金利はマイナス(政策金利よりもインフレ率の方がはるかに高い状態)で、国民の富・預金を犠牲にし続けています。

    では・・・
    どうして、日銀は(量的)金融緩和をやめることができないのでしょうか?

    「財政ファイナンス」によって日本政府の資金繰りを助けているからです。金融緩和をやめたり、長期金利が1%以上になってしまうと、異次元の日本国債を保有する日銀や国内の金融機関が債務超過に陥り、倒産してしまうからです。

    では・・・
    日銀の金融政策は誰の利益を代弁して、誰が不利益を被っているのでしょうか?

    株主や(上場)企業の上層部などの利権を持った人たちです。円安で(上場)企業の利益は増大したけれども、賃金は上昇していません。輸出数量(実力)が増えたわけではなく、円安によって売上高が増えただけなのです。円安は輸入価格の上昇を通じて企業の原価(コスト)を増加させましたが、原価の上昇率は売上高の増加率よりも低いのです。これは、企業が原価上昇(コスト)の大部分を製品やサービス価格に転嫁(値上げ)したことを意味します。転嫁された原価上昇(コスト)は、最終的には消費者(家計)が負担したということです。つまり、日銀の金融緩和がもたらす円安によって、消費者(家計)がコストを負担したから、(上場)企業の利益が増えたのです。繰り返しますが、従業員の賃金はほとんど上昇していません。結局のところ、円安による物価高騰(コストプッシュ・インフレ)の犠牲者は、原価上昇(コスト)を製品やサービス価格に転嫁(値上げ)できない零細企業や下請け企業と消費者(家計)ということになります。

    さて。
    未来永劫・・・
    日銀は異次元の量的・質的金融緩和を続けることができるのでしょうか?
    答えは、明白です。

    ①国債価格暴落による金利の急騰、②株式市場の暴落、③円の暴落、つまり、日本売りのトリプル安(債券、株式、通貨の暴落)は不可避と言えるでしょう。円の暴落によるハイパーインフレ、FAO(国連食糧農業機関)が危険水準としている穀物自給率(飼料用を含む穀物全体の自給率)が3割以下(29% / 令和4年度 / 概算値 / 総合食料自給率(カロリー・生産額)、品目別自給率等(EXCEL : 53KB))で発生しうる国内での極端な食料および物資の不足(円暴落による通貨価値下落で輸入品が買えなくなる)、資本統制(銀行からの引き出し制限、海外送金禁止)を経て、最終的に、預金封鎖と新円切替(デノミネーション)によって、国民の甚大な犠牲を強いて、日本政府の借金が帳消しにされる可能性は非常に高いのです。

    そして、日本の財政破綻後の未来は、円の暴落によって、外国の資本に支配されるという運命を辿るでしょう。市場原理に従って自律的な行動ができない主体は、国家だろうが、企業だろうが、個人だろうが、他者に介入され、コントロールされる運命なのです。そうなれば、単一民族という同一性は失われ、移民と仕事を奪い合い、日本の大多数の中間層は今よりも貧しくなり、貧富の差はさらに拡大し、穏やかで豊かな社会は維持できなくなるでしょう。現在のアメリカ社会の分断と対立は、日本の近未来の姿なのかもしれません。

    日本の若者や子供たちは、日本から逃げるか、犯罪、暴動、テロ、戦争、革命といった形で明らかになる動乱期を生き延びるために、自衛のために、武器を手にして備えた方がいいでしょう。自分の人生や命は、自分で守るしかないのです。
     
     
    ①消費税などの増税率、②社会保険の費用などの負担率の上昇、③インフレ上昇率を合わせた「増税率」以上に収入が増えなければ、家計は困窮します。なぜなら、消費税や社会保険の費用などの負担増は、物価の上昇(インフレ)と同じ効果があり、お金の購買力を弱めて、消費できるモノやサービスの総量を減少させるからです。

    物価は、日々、刻々と上昇していきますが、残念ながら、給料はすぐに上がるわけではありません。経済的な危機を乗り越えるには、あなたがお金のために懸命に働く「労働」だけではなく、お金をあなたのために賢明に働かせて「投資」するしかありません。

    あなたのお金は、24時間、休まずに、働いてくれる最高のパートナーです。
    けれども、どれだけ賢明に働いてくれるかは、あなた次第です。
    自己投資」が大切なのは言うまでもありません。
     
     
    新型コロナの影響による世界経済の景気後退と、大恐慌の懸念から、世界の中央銀行はリーマンショックからの金融正常化に手を付けられないまま、再び、大規模な金融緩和政策へ舵を切り、未曾有の資産バブルを形成しました。

    コロナショックという金融危機を克服して、いずれ政策金利を引き上げ、量的引き締めによって国債を市場で売却し、ばらまいたドルを回収していく(長期金利が上昇していく)米国と、金融緩和をやめることができない日本を比較すれば、中・長期的なスパンにおける「円安」「(ハイパー)インフレ」は不可避です。世界の歴史において、財政に問題を抱えた国の通貨はすべて値下がりしてきたという事実からも、単に「投資」するだけでは不十分です。「資本逃避」という意味合いを含めた「円を売り、外貨を買う」という「海外投資」が不可欠なのです。

    1ドル=100円のときに「円を売り、ドル(外貨)を買う」という「海外投資」を行い、ドルを保有したとします。もし円安が進行し、1ドル=180円になれば、為替だけで1ドルあたり80円の利益となります。

    「円安」や「(ハイパー)インフレ」が不可避の政治的・経済的な投資環境であるにも関わらず、金融庁を筆頭に、日本国内の金融機関や証券会社は、個人投資家が直接、自由に「海外投資」できる環境を整えていません。海外投資に対する税制も不遇なままです。金融庁の規制のため、海外に上場する「暗号通貨」の金融商品への投資もきません。資本が自由に国境を越えて行き来する、アジアの金融ハブ(中核)としての地位を築き上げるという「国際金融都市」構想や「資産運用立国」という掛け声は、大言壮語の絵空事に過ぎません。

    金融機関は、無知な個人投資家に対して「長期投資」「分散投資」「積立投資」を前提とした「非上場投資信託」を売りつけ、自らリスクを負うことなく、確実に手に入れられる甘い蜜(割高な手数料)を吸い続けることしか頭にありません。なぜなら、1,127兆円もの黄金の山(家計が保有する現金・預金 / 2024年06月末時点 )が、活用されずに目の前で眠ったままだからです。

    何かが右肩上がりで上昇し続けることがないのは、サルでもわかるように、金融危機によって市場が暴落すれば、それに応じてファンド価格(基準価額)も大きく値下がりします(投資家からの資金が流入し続けないかぎり、基準価額は上昇しません)。暴落時に、リアルタイムで即時に売り抜けることもできません。基準価額が下落しているのに、それでも、毎月、銀行口座に分配金が支払われるのは、非上場投資信託へ流れ込んだ個人投資家からの投資資金(純資産残高)をそのまま返金して、解約させずにつなぎ留めようとするためです。資金流出することで、さらに、基準価格は下落します。資金流出している(基準価額が下落傾向の)非上場投資信託は、当然ながら、人気がなく、売れませんから、話題性があったり、株価が上昇傾向にあるセクターやテーマなどを都合よく見つけ出してきて、新しい商品を設定し、別の非上場投資信託へ乗り換えるように、彼らはセールストークするのです。

    10年に1度と言われた金融危機は、何度も、起きるようになりました。世界的なインフレが収束しかけ、利下げ期待と共に世界各国の株価指数は過去最高値を更新し続け、株価チャートは真上の天を示すほどバブル化しています。相場は右肩上がりで上昇し続けることはないのに、上げ相場(up↑)でしか利益を出すことができない「非上場投資信託」で「長期投資」を教唆することは、経済的な自殺ほう助に等しいと言えます。

    「円を売り、外貨を買う」という「海外投資」を実践するのなら、世界最強の外貨は、米ドル(USD)です。政治、経済、軍事、エネルギー(シェールガス革命)をはじめ、金融における投資環境すべての面で、今のところ米国が世界一だからです。次に、議会制民主主義の発祥の地であり、資本主義を牽引してきた英ポンド(GBP)でしょう。英国は、占領されたことが一度もなく、決断をして、戦争を始めれば、負けたことがない、世界でも稀な「不敗の国」です。ヨーロッパ(ユーロ)は、言葉の括りから一枚岩のように見えるかもしれませんが、家族形態、言語、宗教、文化などは地域ごとに相当異なります。多様な社会に単一通貨を導入しても、健全に機能するのは難しいでしょう。実際問題として、南欧などの財政問題は、自国通貨による通貨政策(為替による景気の調整)を実施する主権がないのが原因の一つです。

    米国は、2007年のサブプライム危機後、2009年07月に始まった景気拡大局面が10年8カ月間となり、記録が残る1850年代以降で過去最長を更新しましたが、2018年12月には11年ぶりに長短金利(10年物国債利回りと2年物国債利回り)の逆転現象(景気後退のサイン)が生じ、その後、コロナショック(2020年02月)でその幕を閉じました。

    米国の家計債務(住宅ローン、学生ローン、自動車ローン、クレジットカードローン)は、2008年09月末に記録した金融危機時の過去最高水準(約13兆ドル)の2倍以上(約27兆ドル)まで膨れ上がっています。学生ローンは、約9割が連邦政府による貸付であり、その他の債務とは異なり、ほとんどの場合、自己破産を宣言することができません。家計だけでなく企業の債務の膨張は、韓国も中国も同じで、負債バブルは崩壊し始めています。

    ニュージーランド・オーストラリア・韓国・中国の不動産バブル崩壊、中国のゾンビ企業の債務不履行などによるハードランディング、インドネシア・インド・トルコ・ブラジル・アルゼンチンなどの新興国の株式バブル、IMFの支援を受けながら財政破綻を免れているパキスタン・トルコ・エジプト・ナイジェリア・アルゼンチンなどの5カ国はインフレ暴騰により、経済は破綻寸前で、国民は自国通貨を信用せず、資本だけではなくヒトの逃避すら起き始めています。PIIGSなどの南欧諸国などをはじめ、日本の財政(ファイナンス)問題、ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・ガザ戦争など、世界経済が抱える問題とその影響は、未知数です。

    新型コロナによって、戦後最大のマイナス成長となり、景気後退だったにも関わらず、米国のIT(ハイテク)産業を代表する「Nasdaq-100」は、金融緩和によってコロナ以前に記録した過去最高値を更新し続け、2000年に崩壊した「ITバブル」の最高値(4,704.73 / 終値 / 2000年03月27日)の4.5倍の水準まで切り上がり、今度は「AIバブル」で株価はバベルの塔のように真上の天を示すほど急騰、国連が掲げるSDGs(Sustainable Development Goals / 持続可能な開発目標)やESG(Environment, Social, Governance / 環境・社会・企業統治)投資とは裏腹に、実体経済と大きく乖離し始めています。

    米国企業は、将来の成長のための設備投資よりも自社株買い(buybacks)を積極的に実施してきました(2022年第1四半期に過去最高を記録)、自社株買いで発行済株式数は減少し、EPS(Earnings Per Share / 1株当たり純利益=純利益÷発行済株式数)は上昇し(決算上の見た目はよくなる)、PER(Price Earnings Ratio / 株価収益率=株価÷EPS)が低下することで、うまく過去最高値(圏)の株高を演出し続けてきました。しかしファンダメンタルズという証拠の裏付けが乏しい中小企業は多く、PER(株価収益率)の指標からも、超割高な状態が続き、持続可能ではない、超バブル化した株式市場の中で、長期投資を前提としたバリュー投資(Value Investing)は意味を為さなくなっています。

    何かが右肩上がりに上昇し続けることがないのは、誰にでも分かることで、
    山高ければ、それだけ、来るべき谷は、深くなるでしょう。
    The higher it climbs, the harder it falls.

    2007年のサブプライム危機後、2009年07月に始まった景気拡大局面が10年以上あったにも関わらず、金融正常化を遅延させたことで超バブルを生み出しました。そして、その巨大な代償を支払うべき時がとうとう訪れたのです。

    新型コロナに対応するための財政出動で、2020年度の米国の財政赤字は、第2次大戦後で最悪となり、対GDP比では約132%(131.991% / 2020年時点 / April 2024 Edition / World Economic Outlook Database / GOVERNMENT FINANCE / General government gross debt PERCENT OF GDP)となり、過去最悪の水準です。

    超低金利が長年続いた結果・・・
    世界経済(バベルの塔)は、負債(借金)の大洪水で崩壊寸前です。

    金融緩和によるマネーの過剰流動性のもとで競争の原理が働かず、需要と供給のミスマッチを修正する市場の機能は衰え、構造改革は遅れ、ゾンビ企業は延命し、必要な場所に必要な人材が回らず、事業や人材の再編(再投資・再教育)は滞り、低成長に陥る、という悪循環を、金融引き締め(利上げと量的引き締め)によって絶たなければなりません。

    金融緩和によって浮揚した超バブルの終わりの始まり。

    大きな痛み(利上げと量的引き締めによる長期金利の上昇)なくして、
    変革、次の成長は、ありえないのです。

    日本はバブル崩壊の痛みを避けようとして、平成の失われた30年を招きました。
    辛い苦しみを味合わずして、再生することはできないのです。
    残念ながら、中国も、日本と同じ道を歩んでいます。

    先延ばして遅延させるほど、大きな歪みをもたらす。

    救済せずに、破綻させなければならない。
    そうするからこそ、危機から急速に回復することができる。

    絶望の中でこそ、希望の種(Hopefulness)は蒔かれる。
    恐慌(Depression)の後に、繁栄は築かれる。

    2022年03月末、米国の長短金利(10年物国債利回りと2年物国債利回り)が逆転する逆イールド(景気後退のサイン)が生じるという事態に留まらず、2022年11月中旬には政策金利と長期金利(10年物国債利回り)が逆転するほどの異常な景気後退のサインが点灯し、その異常事態は2024年08月下旬まで1年9カ月以上も続き、2024年09月に長短金利(10年物国債利回りと2年物国債利回り)の逆イールドは解消されました(逆イールドは景気後退入り直前に解消することが多い)。

    景気後退のサインである逆イールド現象は、2022年08月には主要10カ国(G10)の中で、ニュージーランド、スウェーデン、英国、米国、カナダ、2022年11月下旬には、ドイツの6カ国、2023年に入ってはスイス、ノルウェーが加わり、2023年6月以降はオーストラリアも「逆イールド」となりました。主要10カ国のうち日本を除く9カ国が逆イールドとなり、世界的な景気後退の懸念は非常に強まっていたのです。

    インフレ抑制のために世界の中央銀行が利上げを続けた結果、景気後退のサインである逆イールド現象が生じて、長期金利は低下しました。今度は、インフレの収束から利下げ期待と共に、世界の株式市場は史上最大の超バブルの息を吹き返しました。景気後退の懸念すら薄れ始める中で、利上げに伴って上昇すべき預金金利と長期金利は低位に張り付いたままである、という、いいとこどりの矛盾した歪んだ市場を生み出し、金融当局をはじめ、金融業界、金融メディアは、資産バブルとその異常事態を黙認しているありさまです。

    市場参加者による景気後退懸念から、長期金利は低下し、世界の株式市場は浮揚し続けてきましたが、銀行の収益の源泉である長短金利差(利ザヤ)は消失し、逆ザヤによって収益は悪化し、米国のSVB(シリコンバレーバンク)は破綻し、スイスの大手銀行であるクレディ・スイスへ飛び火し、世界的な金融不安は一時的に高まりました。しかし、欧米の中央銀行は再び金融緩和で資金供給(延命策)を行い、株式バブルを再燃させました。100年に1度と言われたリーマン・ショックを上回る金融危機は、訪れつつあり、もうすでに訪れているのです。

    原油や天然ガスなどのエネルギー価格高騰や通貨安誘導などからインフレを意図的に引き起こすことで、株式や不動産などの資産価格の高騰を肯定し、意図的に利上げを遅らせることで肥大化した政府の債務を目減りさせたり、デノミネーションやデフォルト(債務不履行)を何度も何度も繰り返して借金を棒引きにする「新しい資本主義」の試みも、アルゼンチン(過去9度の債務不履行)やトルコ(過去3度の債務不履行)などを見れば明らかなように、政治と経済の失敗であり、国民の甚大な犠牲を強いることになるのです。日本は、アルゼンチンやトルコの二の舞を演じるつもりなのかもしれません。

    激しいインフレにも関わらず、利上げによるインフレ抑制を意図的に遅らせるだけでなく、利下げによる株式や不動産などの資産価格の高騰によって既得権益層や金持ちだけを優遇し、大多数の国民の富を犠牲にして、国家債務を削減しようとしています。国民が自国通貨を信用していないという点で、すでにその国の経済は破綻しているのです。

    強権政治や利権を牛耳る一部の階級やエリート層による市場を歪める政策ではなく、市場原理や自然の摂理に基づいた痛みを伴う真の資本主義に立ち返るべきなのです。悪性インフレは、資産を持たない大衆クラスが最も大きな犠牲を支払うことになるからです。利上げや量的引き締めによる長期金利の上昇で景気を犠牲にするか否かの議論をする次元の話ではありません。悪性インフレは経済そのものを崩壊させ、世界的な戦争を誘因してしまうからです。

    「ロシア・ウクライナ戦争」が引き金となったエネルギーや食料価格の高騰、そして、悪性インフレの原因を「ロシアのプーチン」のせいにしようとする米政権の試みは、的外れであり、真っ赤な嘘で、失敗に終わりました。そもそも金融正常化(利上げ)のために、インフレという大義を必要としたわけで、米国のエリート層自身が招いた金融緩和によるマネーの過剰流動性が悪性インフレの大きな原因であり、怒りの矛先を外部へ向けようとする責任逃れのためのスケープゴートであり、9.11のように自作自演を続けるつもりなのかもしれません。

    ポピュリズムや極右の台頭、国内の分断や内部対立は外部転換(戦争)へと至りやすく、ナショナリズムの勃興によって内部対立は解消されてきた、という暗い歴史から学び、明るい未来を描かなければなりません。

    資産バブルとその崩壊、物価高騰の悪性インフレと向き合うためにも、(自己)投資を通じて、自助努力し、自分の身は自分で守らなければならないのです。
    金融教育が大事なのは言うまでもないでしょう。

    不確実性のなかで、景気や相場の良し悪しに関わらず、相場が上がっても(up↑)、下がっても(down↓)、まったく変わらなくても(side→)、どの局面でも利益を出すことができる「投資手法」は存在します。それが「オプション取引」です。

    資産運用において「オプション取引」を用いれば、金融危機で相場が暴落しても、保険を掛けて資産を守ること(リスクヘッジ)ができるだけでなく、リスクを負って資産をさらに大きく増やすこと(リスクテイク)もできるのです。










     
     
    投資の必要性が叫ばれている割には、お金や投資と真剣に向き合うことなく、お金やお金持ち、グローバル化や資本主義を嫌悪しているひとは多いのではないでしょうか。不安や恐怖を常に抱えながら「消費」を抑制し、「投資」を忌避しながら、(当然ですが)明るい将来を期待することはできません。

    「投資」「消費」が拡大せずに、経済が成長することはありません。
    「投資」によってお金が増えずして「消費」が拡大することはありません。

    「資本主義」による「経済成長」は「投資」から始まるのです。

    明るい未来を期して、希望の種を蒔き、育てること。
    広義の意味において、そのことを「投資」といいます。
    種を蒔かずして、(さらなる)豊かさを手にすることはできません。


    日本では、仏教や儒教(権威主義的家族関係の倫理化)の教えが広く浸透し、私たちの考え方に大きな影響を与えていて、「投資」を大前提的に肯定できないひとがほとんどです。「欲を捨てよ」「利を捨てよ」の思想は、社会主義的、共産主義的な思想であって、グローバル化する市場経済、資本主義の現実に反する愚考です。社会主義、共産主義がうまく機能しないことは、歴史がすでに証明しています。

    そして、日本は世界最大の社会主義国家です。

    平成の「失われた30年(1989年~2019年)」は、資本主義が行き詰ったのではなく、日本が社会主義国家だったからです。日本のGDP(国内総生産)は失われた30年間(1989年~2019年)でわずか1.6倍にしか拡大していません。直近30年間(1993年~2023年)では0.93倍で、むしろ経済は縮小し、G20の中で経済が縮小しているのは日本だけです。

    「給料が増えない」「結婚して子供を持つことができない」「不動産がバブルで高騰して家を持つことができない」「親より良い生活はできない」「頑張っても(税金で)搾取されるだけだ」と思うのは、当然でしょう。日本経済全体のパイが大きくならずに、国民が豊かさを実感することはできません。国の歳出ばかりが拡大すれば、財政は悪化し、国民同士で限られたパイを奪い合うことになります。債務残高の対GDP比は、失われた30年間で約4倍に膨れ上がり、G20の中で最悪の水準です。

    アフリカでも、日本でも、貧困の原因は腐敗した怠慢な政府にあり、お上の息のかかった人間だけが豊かさを享受し、その豊かさは、大多数を占める中間・最下層にいる国民から搾取したものです。甘い汁を吸っている既得層だけが変化を拒むのです。
     
    過去30年間におけるGDPの推移 / Billions of U.S. dollars
    G7
     
     
    G20 1993年 2023年 対比

    オーストラリア
    309.3 1,740 5.63倍

    日本
    4,540 4,210 0.93倍

    韓国
    392.73 1,710 4.35倍

    中国
    617.43 17,660 28.60倍

    インドネシア
    190.91 1,370 7.18倍

    インド
    279.30 3,570 12.78倍

    サウジアラビア
    132.79 1,070 8.06倍

    トルコ
    248.57 1,110 4.47倍

    南アフリカ
    147.24 377.68 2.57倍

    ロシア
    196.23 2,000 10.19倍

    イタリア
    1,050 2,260 2.15倍

    ドイツ
    2,070 4,460 2.15倍

    フランス
    1,320 3,030 2.30倍

    イギリス
    1,160 3,340 2.88倍

    欧州(Euro Area)
    6,130 15,540 2.54倍

    アメリカ
    6,860 27,360 3.99倍

    カナダ
    579.06 2,140 3.70倍

    ブラジル
    429.18 2,170 5.06倍

    アルゼンチン
    264.43 654.89 2.48倍

    メキシコ
    530.23 1,790 3.38倍
     
    低成長・マイナス成長でゼロ金利ならば、資本はより高い金利を求めて、国内から海外へ資本逃避します。その結果、円が売られて外貨が買われるので、円安となります。円安になれば海外との(価格)競争力が高まり、外国製品よりも日本製品が買われるので、輸出産業が潤います。潤うのは輸出産業だけではなく、円安によって輸入品が割高になりますから、国内の農業や漁業なども国産品が買われるようになります。円安で海外からの外国人旅行者が増えれば、日本国内に多くのお金が落ちます。円安は日本全体の景気を押し上げ、成長率を高め、物価の上昇に伴い金利も徐々に上昇し始めていくのです。そのようにならないのは、市場原理、資本主義が機能していない証拠です。日本が社会主義国家だからこそ、市場原理が歪められてきたのです。

    2,212兆円もの家計の金融資産のうち半分以上(約50.9% / 1,127兆円 / 2024年06月末時点)が「現金・預金」として国内の銀行で眠っています。このような国は、世界で日本だけです。政府や企業だけでなく、家計も社会主義的な思想を捨て、平成の失われた30年間の反省から、しっかりと資本主義を学び、実践し始めるべき歴史的な大転換期といえます。バブル崩壊後、30年間もGDPがほとんど拡大せず(低成長)、ゼロ金利の日本国内にお金が滞留することは、市場原理(資本主義)を無視しているか、それとも、無知なのか、はたまた、リスクを負う勇気がないのか、のいずれかでしょう。

    「黙ってオレの言うことを聞け、そうすれば守ってやる」という絶対的上下・主従関係に代表される封建主義的、権威主義的、家父長主義的な支配構造や変化を拒絶する閉鎖的な日本人の精神性は、IT革命後、劇的に変化した世界の経済環境(グローバル化)に適応できないまま、取り残されてしまいました。井の中の蛙のようにガラパゴス化した小さな世界に安住し、グローバル・スタンダードで闘うことなく、民間セクターが国家と癒着する社会主義(競争的縁故資本主義)という名の中国・ロシア化が深化しています。

    世界経済は、1990年代に大繁栄を実現しましたが、社会主義国家の日本は取り残されたのです。産業構造改革が実行されないまま、お上のご機嫌を気にして、忖度ばかりしている日本からは、米国のGAFAMFAANGFANG+Magnificent Sevenのような革新的な巨大IT(ハイテク)企業が誕生するのは難しいでしょう。高度経済成長、バブルの崩壊、そして平成の「失われた30年」を経ても、なお、日本の時価総額ランキングのトップは「製造業」の「トヨタ自動車」である、ということがそのすべてを物語っています。

    世界時価総額ランキングの上位を占める「Apple(アップル)」「NVIDIA(エヌビディア)」2社だけ(約66,914億ドル)で日本の株式市場全体(Prime / Standard / Growth / TOKYO PRO Market)の時価総額(約63,596億ドル)を上回ります(2024年10月末時点)。

    経済成長は、まず、最も生産性の高い産業セクターに人材と設備を投入し、フロンティアを開拓することによって起きる、ということからも明らかなように、スクラップ・アンド・ビルドの「創造的破壊」を実践しなければ、パイ(経済)は大きくなりません。フロンティアの開拓や創造的破壊を必要としてこなかった閉じられた日本は、世界と比べて、常に、周回遅れの最後を、お上の庇護を受けながら、変化に対して後ろ向きな姿勢で、追走し続けているのです。
     
     
    日本は極東(極西)の島国であり、単一民族です。地理的に海によって隔離され、歴史的に他民族と分断されてきました。関係者がみんな顔見知りというような閉鎖的な共同体の中では、当然ながら、「個人の自立」よりも「集団の調和」が最優先されます。調和を乱す異端児は、組織から排除されるような強制力が暗黙的に働きます。

    単一民族という同質的な組織の中では、変化を促すような人とは異なる個性に価値を見い出すことは稀で、他人と同調して変わらずに同じであることに安住し、組織は変化を嫌います。大前提的に、無条件的に、年上の者に対して媚びへつらい、敬語などの複雑な言語体系を進化させ、個人の能力ではなく、年の功や組織の位(上下関係)で序列を規定する年功序列型の文化が育まれました。

    第二次大戦後、焼け野原からスタートした日本は、恐慌と戦争による損失の修復と第二次産業革命の残された果実の収穫によって、短期間のうちに高度経済成長を遂げました。大量生産時代には、旧来の日本的システムがベストマッチして、目覚ましい成果をもたらしました。ところが、1980年代に経済的に成熟し、国家としての大きな役割を果たした直後、突然、30年前に倒れてしまったのです。寝たきりになってしまった老人国家は、少しずつ、確実に、衰退しているけれども、延命治療(赤字国債発行という財政ファイナンス)によって生き長らえている状態です。

    ヒト(人類)が目指すべき理想の社会とは、当たり前ですが、「自分で自分の生き方を自由に選ぶことができる社会」であり、自己責任と自助努力に基づく資本主義的な社会です。 資本主義国家として政府は、セイフティーネットを確立させた上で(既存の生活保護は機能していないのでベーシックインカムなどの導入を検討すべき)、規制をなくして自助努力が報われる環境を整えなければなりません。「自助努力が報われない社会である」と思う人がこれほど多いのは、日本が社会主義国家だからで、やる気(アニマルスピリット)を失い、責任を転嫁しながら、自立して自由に創造する力を発揮しないまま、日本人の多くはますます貧しくなっています。

    公平に競争すれば、順位が決まり、結果的に不平等(格差)を生む。
    規制によって、競争を結果的に平等にすれば、不公平(怨嗟)を生む。

    資本主義が生み出す格差と社会主義が生み出す怨嗟。
    格差は税制や教育によって改善することができますが、怨嗟は消えません。
    怨嗟は内へ向かえば自殺に至り、外へ向かえば暴力・テロ・戦争へとつながる。

    日本は社会主義国家であるため、閉鎖的な政治闘争に明け暮れて疲弊する人は多く、自助努力が報われる環境(資本主義)の実現は、簡単ではありません。学問的な教育だけでなく、職業的な教育、お金や投資に関する金融教育の根本を義務教育から変えなければなりません。

    学問的な知識に長け、学校で優等生(良い子)だった高学歴な学生が、社会人になってから、たいして裕福ではない人生を強いられている姿を多く見かけます。一方で、学校で劣等生(不良)だった低学歴な学生が、社会人になって経済的に成功し、お金持ちになる姿も多く見かけます。

    学問的な成功と経済的な成功はイコールではありません。

    「投資」を肯定できないひとたちを含めて、私たちの誰もが「投資」と無関係ではありません。大多数の学生たちが、学校にて良い成績を取り、より良い大学へ進学し、大企業や公務員への就職や転職を目指して消耗戦を続けるのは、経済的なメリットやリターンが高いと判断しているからでしょう。

    私たちの誰もが、年をとるにつれて、「労働市場」からお金を稼ぐことができなくなり、いつかは引退して、公的・私的年金が運用される「金融市場」からお金を手にしなければならない「個人投資家」となる運命なのです。 老後のお金の問題を解決するには、できるかぎり労働市場で長く働いて老後そのものを短くするか、金融市場で賢明に稼いで経済的に自立するか、バランスをとって「労働市場」「金融市場」の両方から稼ぐしかありません。

    「終身雇用」「年功序列」を代表とする日本的雇用慣行は、途上国を含めて世界一と言えるほどの長時間労働、サービス残業という強制労働、ブラック企業を生み出し、生産性が低いまま、平成の失われた30年間、低成長しか実現できていません。単身赴任という非人間的な奴隷制度も残っています。会社を辞めるという選択肢を行使できないまま、安定(保身)と引き換えに、低賃金とブラックな雇用環境に甘んじなくてはならない惨状こそ、意欲や生産性が向上しない最大の理由の1つでしょう。

    他の先進諸国は、日本と比較して、はるかに良い労働条件で、経済を回していますが、日本でそれが実現できないのは、日本的雇用システムをはじめ、お上やリーダーたち(政治)が悪いからです。「終身雇用」「年功序列」を廃止して、フェアに雇用評価されるリスキリング(学び直し)の転職社会が当たり前になれば、雇用の流動性は高まり、より効率的な経済システムへと生まれ変わることができます。欧米諸国と比べて、約半分程度でしかない日本の最低賃金(令和5年度の最低賃金の目安は全国加重平均で時給1,004円)は、もっと最善の余地があるのです。

    産業構造改革で、新しいビジネスモデルや新しい技術を開発し、それによって企業の「稼ぐ力」「付加価値」「粗利益(売上高-売上原価)」「生産性」を引き上げることができれば、賃金や給与を引き上げることができます。新しいビジネスモデルや新しい技術の開発に企業の大きさは関係ありません。

    日本では大企業と中小零細企業の間に大きな賃金格差があります。故アベノミクスという名の下に、日銀(中央銀行)による「資産買入れ方針」で「ETF」や「J-REIT」を通じて、株式市場、不動産市場へ資金供与を行ない、株高によって上場企業の管理職や上層部だけが、濡れ手で粟の大金を手にする一方、非上場の中小零細企業や非正規雇用者などの末端層は、身分格差・賃金格差の差別によって虐げられ、苦しみ続けています。

    上場企業は「PBR1倍割れ問題」を解決するために、腰を据えて真面目に産業構造改革を断行し、生産性を高めて継続的に賃金が上昇していくための努力をするどころか、過去最高の自社株買いを実施して、発行済株式数を減少させてPBRを高めるという安易な道を選択しています。真の実力は何も変わっていないので、遅かれ早かれ、過去最高値を更新したバブル状態の日本株式市場はいずれ、化けの皮が剥がれることでしょう。

    このような日本株式会社で、忠誠を誓って頑張っても報われない、安定を求めたいという理由から、公務員になりたいと思う若者が多いのは、世界的に稀で、異常な社会であり、財政破綻したギリシャを見れば、その問題は言うまでもなく明らかでしょう。

    日本的雇用システムである「終身雇用」「年功序列」は「失われた30年」以上にガラパゴス化しています。グローバルな労働条件では、国籍や年齢で差別することができないだけでなく、同じ仕事をしているのに、正社員の「正規雇用」と派遣やアルバイトなどの「非正規雇用」で、給料やボーナス、福利厚生などの待遇が異なるのは、差別に該当します。

    「失われた30年」は、雇用改革をはじめ、産業構造改革を後回しにして、団塊の世代の雇用を守るために、若者や女性たちの雇用や経済的な待遇を犠牲にしてきたともいえます。

    日本企業は、能力に関係なく年齢と共に賃金が上昇する年功序列型の報酬体系ですが、欧米諸国などでは、30歳以降は年功だけで賃金は上がりません。年をとったというだけの理由で管理職の地位につき、意思決定権を持った既得者は、新しいビジネスモデルを導入したり、新しい技術を開発したり、新しい事業に取り組むことに消極的になります。なぜなら、新しいものの導入は、彼らの地位や既得権益を危うくするからです。年をとるだけで自らの利益となるのなら、変化することを試みて失敗するよりも(責任を追及されるよりも)、変化しない方が賢明な策となります。既得権益層は変化を嫌い、逃げ切ろうとします。日本では、変化を促す企業間の労働力移動(雇用の流動性)が少なく、産業の新陳代謝は遅れ、生産性が低迷し続ける要因になっています。

    「好きな仕事を求め、能力を発揮し、仕事の成果に応じて、然るべき報酬を手にすることができる。新たな分野にも挑戦し続け、たとえ何度失敗しても、(リスキリングで)学び続ければ経済的に挽回できる」という当たり前の雇用環境や風土が日本では整備されていません。副業で投資したり、起業したりする者をもっと優遇し、たとえ事業で失敗しても、セーフティーネット(既存の生活保護は機能していないのでベーシックインカムなどの導入を検討すべき)で経済的弱者を一時的に支援して、挑戦して失敗した者を路頭に迷わせることなく、再起できるように支援しなければなりません。

    お上や上司のご機嫌を忖度することばかりに気を取られ、脱落することを恐れて縁故・保身に回り、排他的にならざるを得ないのは、私たち日本人が社会主義(官僚システムやお上や上司による庇護)を捨て、未知のフロンティアへ踏み出す気概や勇気がないからであり、そもそも年功序列による退職制度などの雇用システムが、自律的な個人の自立や独立を妨げ、足を引っ張り合うように機能しているからです。

    日本社会では、男尊女卑が根深く、家事や育児を女性にほぼ丸投げして、女性の社会的地位や待遇は低いままで、「家事・育児」と「仕事」を両立して自由に働くことができる環境は、日本の政治と同じように表向きの体裁を整えるだけで、実際にはきちんと機能していません。現在にも未来にも期待することはできず、愛する人と家庭を築くという幸せの根幹が大きく揺らぐ中で、男性だけでなく女性の多くが絶望し、苦しまずに自殺したい、という安楽死を求めてしまうのは、残念ながらも、当然の帰結といえます。

    既存の政治政党は、このような惨状にも関わらず、表向きの体裁(懸念して努力しているというフリ)だけを整えて、実際に大きな変化を促す政策や法律を変えて規制を緩和することはありません。彼らも同じように、何もせずに年をとるだけで高給をもらえるわけですから、リスクと責任を負わずに、寝て過ごすのが最良の策なのです。
     
     
    世の中を見渡せば、不幸な貧乏人もいれば、幸せなお金持ちもいます。
    誰もが平等に生まれてきますが、歴然とした格差が生じるのはなぜでしょう?

    旧来の学校教育では、金融・経済の仕組みを含めたお金の知識(知性=IQ、感性=EQ)について体系的に教えてくれません。金融教育の低年齢化が進んでいるものの、投資においては、私たちが儲かる仕組みについては教えてくれません。残念ながら、「(一般・ジュニア・つみたて)NISA(少額投資非課税制度)」や「iDeCo(個人型確定拠出年金制度)」は、「長期投資」「分散投資」「積立投資」を前提とした彼らが儲かる「非上場投資信託」を推奨するための仕組みです。

    「経済格差」とは「お金の知識の差」です。

    問題は、機会の平等の下で、結果として貧富の差が生まれることではなく、格差が世代を越えて固定し、学費が高騰する高等教育(学位)の有無によって格差を逆転できない社会的な階層を生み出し、「社会的流動性」が著しく低下することです。

    経済的階層の入れ替えや逆転が不可能な社会では、若者たちは夢を見ることよりも諦めることに傾斜し(ミニマリズム)、意欲の低下、アルコール・薬物依存症、絶望死という病に罹りやすくなっています。市場主導の能力主義で成功を収めたエリート層と置き去りにされた大衆(ポピュリスト)で社会は分断され、怨嗟と屈辱が大きく渦巻き、(学問的な教育だけではない)様々な教育の「機会の平等」による内部対立の解消はますます難しくなっています。

    さて。
    良くも悪くも、お金の習慣(稼ぎ方、使い方、増やし方)は、
    無意識レベルで、親から子へ遺伝します。

    極端な経済格差は「富裕層への増税」だけではなく、
    「貧困層へのお金の教育」を施さないかぎり決して解消されません。

    強者を弱めることで、弱者を強くすることはできないのです。
    富者を貧しくすることで、貧者を富める者にすることはできないのです。

    富者から奪った魚を、貧者へ与えれば、1日、生き延びることができますが、魚を獲る方法や増やす方法を教えれば、彼らも生涯にわたり富を築くことができます。意欲とパイを奪うのではなく、パイそのものを大きくすることができるのです。

    社会主義的な格差是正は、結果の平等であり、意欲とパイを奪い合う。
    資本主義的な格差是正は、機会の平等であり、意欲とパイを増やし合う。

    どちらが豊かな世界でしょうか?

    機会の平等のもとで、フェアに競争すれば、格差が生じる(順位が決まる)のは当然です。どれだけ頑張っても、結果としての待遇が全員同じなら、誰も努力しないでしょう。

    日本は残念ながら、税制をはじめ、結果の平等を強いる閉塞化した希望のない社会主義社会であり、女性や子供たちを見ればわかるとおり、老人(老害)に虐げられ、明るい未来を描くことができず、意欲を奪われ、自助努力で人生を改善していくというごく自然な概念すら放棄せざるをえなくなっています。
     
     
    少子高齢化でますます閉塞・縮小していく日本社会において、社会主義的な「大きな政府」で行き詰まっているのは明らかで、「他力依存によるお上から与えられる保護・保障」ではなく、資本主義的な「小さな政府」で「自助努力による自立」が求められる、と考えるべき、新たな枠組みの「教育」と日本人の精神性の「維新」が不可欠です。

    もちろん、セーフティーネット(既存の生活保護は機能していないのでベーシックインカムなどの導入を検討すべき)で経済的弱者を一時的に支援する最低限の仕組みや、挑戦して失敗した者を路頭に迷わせることなく支援し、何度でも復活できる社会システム(コミュニティ)の再構築が不可欠です。幸運にも成功を収めた人たちによるコミュニティへの社会的還元や対話による後進の育成、啓蒙活動も必要でしょう。

    挑戦せずに、現状維持や縁故・保身に成功した一部の人間だけが豊かさを手に入れる社会主義的な社会ではなく、挑戦して失敗することを厭わず、変化を恐れずに学び続け、何度でも立ち上がる勇気のある人間を尊重・尊敬し、優遇する資本主義的な社会にしなければなりません。

    政府も、企業も、個人も、「自助努力」と「自立」が求められているのです。

    日本の社会では、自律的な自助努力のもとに、組織から自立しようとすると、反抗的な「変わり者」として厄介者扱いされます。常に個人よりも集団を優先し、周りのことを考えて、護送船団方式によって横並びに協調(お行儀よくして社会的な統合を優先)することが何よりも大事であると、学校教育によって長年、私たちは刷り込まれてきました。社会主義的・共産主義的な思想による暗黙的な強制力が働いてしまう旧来の学校教育による弊害は大きく、「失われた30年」という大きな代償を支払うことになった原因の一つと言えるでしょう。
     
     
    何をしたらいいのか、何がしたいのか、分からないひとに必要なのは、
    「アドバイス(助言)」ではなく、何をしたらいいのか、何がしたいのか、
    自分で判断し、行動できるようになるための「教育」です。

    それは、投資だけでなく、人生についても同じことがいえます。

    権威主義的に自分の人生を他人に決められる社会主義ではなく、
    自然の摂理、市場原理に基づいた資本主義の教育と実践を徹底して、
    「自助努力」「自立」「自由」の精神に基づいた豊かな世界を創造しましょう。

    官僚(人間)の合理性を信じるよりも、市場の合理性を信じた方がいい。
    資本主義が行き詰まるのは、そこへ官僚主義の非合理性が介入するからです。
    日本を見れば、それは言うまでもありません。

    結果平等主義の「社会主義はうまくいかない」と歴史が証明しています。

    平等を強いる権威的・全体主義的な社会・共産主義のイデオロギーは、
    肥大する国家権力と残酷な専制・恐怖政治を生み出し、
    旧ソ連で行われた壮大な実験は、失敗に終わったのです。

    勇気なくして責任なし。
    責任なくして自立なし。
    自立なくして自由なし。
    自由なくして創造なし。
    創造なくして繁栄なし。
    繁栄なくして幸福なし。

    故に、勇気なくして幸福なし。
     
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