「いいかい、ゼロ。
成功というのは失敗や困難でガードされているのじゃ。
たいていは一度の失敗であきらめてしまう。
ひとの心は移ろいやすいからね。
同じ気持ちであり続けることは難しいのじゃ。
ひとの心とはそういうものなんじゃ。
しかし・・・決してあきらめてはいけないよ。
つまずき、失敗したとき、成功はもうすぐじゃ。
自信を失い、挫けたとき、成功はもう目の前じゃ。
もうダメだとあきらめかけたとき、成功はもう手に触れている。
潮が最も引いたときこそ、
潮が満ち始めるときだということを忘れてはいけないよ。」
「いいかい、ゼロ。
そこの桜の木を見てごらん。
真冬の中で耐え忍び、少しずつ準備を整え、
変化しているのだよ。
春になって花が開くのは、
そのプロセスの一日に過ぎない。」
おばあさんの教えが心に蘇るたびに、ゼロは涙が溢れました。
萎れた心はまた熱く膨らみ、軽くなるのでした。
度重なる汗と涙で地は固まり、
温かい陽光と共にやわらかな芽が顔を出しました。 |
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それから10年後・・・
ゼロはおばあさんの秘密の教えを守り続けました。
樹はすくすくと成長し、たくさんの動物が集まり、
枝葉を大きく広げたその姿は、
ゼロが小さい頃に夢見た樹にそっくりでした。
空を見上げると、おばあさんが微笑んでいるようでした。
溢れんばかりの感謝の涙で世界が揺れ動きました。
すると・・・
ゼロの足元にリンゴがたくさん落ちてきました。
見上げると・・・
そこには黄金色に光輝くリンゴが一面に実っています。 |
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「いいかい、ゼロ。
取れたリンゴを全部食べてはいけないよ。
まず、リンゴを4つのカゴに分けなさい。
1つ、自分のために食べなさい。
1つ、大切に保管しておきなさい。
1つ、また植え直して育てなさい。
1つ、世のため人のために与えなさい。 」
ゼロはリンゴが取れるたびに、
それぞれ4つのカゴに分けて、
1つ、また1つと、自分のために食べ、
大切に保管し、また植え直して育て、
世のため人のために与え続けました。
「いいかい、ゼロ。
金の卵を産むニワトリの話を知ってるかい?
お腹が空いたからといってニワトリを食べてしまうと、
今度はもっとお腹の空いた状態が長引くことになる。
もし、愛情を注いで大切にニワトリを育てるなら、
ニワトリは金の卵を産み続け、もう飢えることはない。
さらに、もっと満足することを先延ばしにして、
産まれた金の卵を育てることを覚えれば、
金の卵を産むニワトリが増える。
お金のなる樹を育てるのも同じじゃよ。
ゼロ、いいかい。
一番大切なのは・・・樹の根に深く宿る魂じゃ。」 |
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